HENRY DARGER展。


パリ市立近代美術館は、

お気に入りの美術館のひとつ。

常設展だけで、たくさんの作品があるので

今回、企画展をみたのは初めて。


彼の企画展ポスターをメトロで見つけたとき、驚いた。

むかし、彼についてのドキュメンタリー映画をみたことがあったから。

『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』

渋谷のシネマライズで

客席はがらがらだった。

わたしがこの予告編を観て

なぜその映画を観ようと思ったのか

彼の描く少女たち、ヴィヴィアン・ガールズに強烈に惹かれるものがあった。

映画によれば

彼は貧しく、極度に閉ざされた生活をしており

ごく少数の隣人たちですら

DARGERの発音が『ダージャー』だったか『ダーガー』だったか、

曖昧であるほどだ。

幼くして親を失い、入れられた施設から脱走し

16歳から病院の掃除夫をしたりしながら生きてきた。

病院と、教会のミサ以外、外出はせず

親戚も友人もいなかった彼については、未だ、謎が多い。


彼が19歳のときから死の直前まで

誰に見せるためでもなく、部屋で書き続けた小説は

15,000ページ以上にも及び、それは世界最長の小説といわれている。

(きちんとタイプライターで清書されていた。)

ヴィヴィアン・ガールズと悪との終わりなき戦いを描いた

小説『非現実の王国で』と、

300点あまりの挿絵は

彼が病気で救貧院に収容された際、アパートの大家さんが発見したものだ。

大家さんがアーティストだったこともあり、彼の作品は突如として世界に知れ渡ることになるのだけれど

しかし彼は、それを「捨ててくれ」と言っていた。



今回、彼の作品をあつめた企画展では




彼の“非現実の王国”のなかに足を踏み入れることができる。


(これはヴィヴィアン・ガールズが逃亡のため、床の絨毯に隠れている絵。可愛い。)


ダーガーの描く少女は、両性具有だ。

それは、ダーガーが女性と関わったことがないためともいわれている。


ふしぎな生き物たちも、物語に登場してヴィヴィアン・ガールズを助けてくれる。




この暗雲は、コラージュ。

ダーガーの絵にはよく、部分的なコラージュが用いられている。

そしてこの絵にもすこし描かれているけれど

残虐なシーンも多い。

物語のなかで「子ども奴隷制度」に立ち向かうヴィヴィアン・ガールズたちと

その相手、残酷な"Glandeliniens"との戦争。

子どもたちを惨殺する(主に首を絞めている)絵や

恐ろしく、グロテスクな絵も多く描かれていて、衝撃的だった。



純粋の結晶には、土足で踏み入れてはならない気がして

すこし気が引ける。

彼自身は

彼のつくりあげた世界が、ヴィヴィアン・ガールズたちが人目に触れることなど望んではいなかったから。

捨ててくれと、彼は言ったのだもの。


今日はなんだか頭がぼんやりして

一日おうちで、調べ物や書き物をしようとおもっていたのだけれど

うつらうつら、もう夜になってしまった。

19時を回ってもまだ、外は明るいけれど。

やっと身体じゅうを占拠していた霧が晴れたようなので

この隙に活動しようっと。


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