ルゥのおかげで風邪をひいたこと。



ルゥのおかげで、風邪をひいてしまった。

ルゥは、大家さんちのねこなのだけれど

一昨日の夜、

中庭に面した大きな窓の外に座り込んで

にゃあにゃあと鳴くから

窓を開けて、お部屋に入れてあげた。

なんどもなんども頭突きしてきたり

わたしの足に巻き付いてきたり

わたしが立ち上がれば、かならず後ろをついてくる。

頭突きするのは、気に入ったひとや場所に、自分の匂いをつけようとしているしるしなのだそう。

ねこは、自分の匂いのする場所にいるととても落ち着くから。

そういうときは、

よしよしって撫でてあげるのだ。

お部屋のありとあらゆるところに首筋をこすりつけているのを横目に見ながら

珈琲を飲んだり、PCをひらいたりして過ごす。

たまに、甘えた声で鳴くので

また、よしよしってしてあげる。

ルゥはとても甘えん坊だけれど、

もうおばあさんだから、

歩くのだってゆっくり。

子猫のように駆け回ったり、高いところにぴょんと飛びのったりはできない。

わたしがソファーやベッドに腰掛けると、

ちょっとだけ、躊躇してから

えいっと乗っかってくる。

PCのキーボードの上を占領して、

画面には、一瞬にして呪文のような文字列がだーっと羅列してしまう。

だめだよ、ルゥ。

と言って、キーボードの上からルゥをどかす。

ルゥは気にしない。

膝の上で、まるでいぬみたいにおとなしくしている。

でもやっぱり、ルゥはねこだから

ふいにお部屋の外へ出て行ってしまう。

そうしたら、お休みと言ってわたしは窓を閉めるのだけれど

ちょっとするとまた、

にゃあにゃあと開けてほしがるのだ。

そんなことを何度か繰り返してから

わたしは諦めて、その夜は窓を開け放して眠ることにした。

それが、ちょうど急にパリが寒くなった夜で

朝早くにはすこし、雨さえ降っていた。

そうしたら見事に、かぜっぴき。

日本から持ってきた風邪薬を飲んで

前の日につくった茄子カレーを食べてねむったら、

半日ですっかり良くなったけれど

夏なのに、風邪なんてひいてしまって。

でも懲りずに今もわたしはすこしだけ、

ルゥが入ってこれるぐらいにだけ

いつも中庭に面した窓をうすく開いている。

もう風邪をひかないよう、

夏なのに、紺色のカウチンニットを羽織って。




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