今にも折れそうに震える、か細いヒールが支えるあれこれについて。


2013年のパリ留学中に購入した、

肌に溶けるベージュのパンプス。




IRENA

この流れるような美しいフォルムを前にした女性がすべきことは唯一つ、

そこに足を滑り込ませるだけ。

見慣れぬ“あなた”とも呼びたくなる自分の脚が、
一歩ずつ、
だんだん自分のものになってゆく。

その誰とも共有できない感覚が、
密かにたのしい。

女性が知っておくべきよろこびのひとつ。

美しい靴を履くということ。




購入時に貰った、2013年PRE FALLのカタログ。







繊細なブラックレースが引き立てる、肌そのものがジュエリーのよう。







それにしても。

華奢すぎるハイヒールをみると、
無性に胸に沸き起こる切なさはなんだろう。

この、今にも折れそうにか細いヒールが支える、
わたしたちのあれこれ。

特別な一日と、繰り返す日常。